この前とある本を読んでいて、驚いたことがありました。
それは、「欧米には『肩こり』がない」ということ。
正確に言うと、「肩こり」のような症状はあるのですが、それを「肩こり」という言葉で表現しないのだそう。「肩こり」という概念が存在しないというのです。
肩こりって、なじみ深いですよね。誰しも一度は経験したことがあるのでは、と思います。子どもの頃から肩こりがあって、という人も珍しくないのではないでしょうか。
私も、肩こりとは長いつきあいです。肩がこっていない日のほうが少ないんじゃ?と思ったりします。
でも、私たちがなじみ深く感じるのは、「肩こり」という日本語が存在するから。「肩こり」という言葉があるため、肩の痛みに意識を集中させてしまう、ある種の文化のようなものだと書いてありました。
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「肩こり」という聞いて、その原因は何だろうと考えたとき、まず思い浮かぶのは「仕事で長時間パソコン作業をしていた」とか「無理な姿勢で家事をしていた」などではないかと思います。筋肉を酷使して負担がかかったのでは、と考えますよね。
確かに、そのような理由で肩こりがひどくなることはあります。加えて、姿勢の悪さなどの生活習慣も、肩こりの原因として考えられます。
ただ、それだけでは説明のつかないことがあるそう。いわゆるストレスなど、心理的要因・社会的要因も複雑に関係しているというのです。
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痛みというのは「学習」するものだそうで、人間の赤ちゃんは、針を刺しても最初は痛がらないのだとか。
細い注射針程度なら刺されてもキョトンとしているらしいのですが、泣き叫んでいる他の赤ちゃんを見て「これは痛いということなのか、そしてこういうときには泣くのか」と学習していくのだそうです。
つまり、最初から「痛い」とわかっているものではなくて、脳が学習していくらしいのですね。
痛みを実際に感じているのは脳です。転んでケガをした、などの急性期の悼みはもちろん、慢性的な肩こりや腰痛などの痛みも、脳がさまざまな情報を統合して痛みと感じているそうです。
慢性的な痛みは、原因がわかりにくいと言います。ストレス、うつ病、過労、人間関係など、心理的・社会的要因がさまざまに組み合わさって脳に痛みとして感じさせているのだそうです。
例えば、痛いと仕事に集中できず、それがストレスとなって職場の人間関係が悪くなり、余計に脳が痛みを感じさせる、などです。
また、痛みによってうつ状態になると、外出しなくなり運動不足を引き起こし、それによって不眠が引き起こされるとそれがまたストレスになって…というような悪循環も考えられます。
人間以外の動物には慢性的な痛みとものは存在しないらしいですが、その理由はまさにこのようなものですよね。
痛みは測りにくいので動物にはまったくないとは言い切れないかもしれませんが、慢性的な痛みは人間特有のものといっても過言ではないようです。
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では、慢性的な痛みを治すにはどうすればいいのでしょう?
ストレッチをしたり生活習慣を見直したりということかな、と私は考えたのですが、その本には「(病院などで)じっくり話を聞いてもらう」のが重要、と書かれてありビックリ。
医者が、「どこが痛いですか?」ではなく、「何に困っていますか?」という質問をすることで、痛みに関する複雑な原因を解きほぐすきっかけとなるそう。
生活習慣や思考のくせは自分では当たり前すぎて、自分ひとりではなかなか気づけないものであるため、じっくり話すことが必要だと言います。また「姿勢が悪いのはわかってるけど、疲れるし…」など自分ではうすうす気づいていることも、それが痛みの原因になっている、ときちんと向き合うことで改善につながりやすくなるのだとか。
私の肩こりは、猫背と度数の微妙なコンタクトのせいかな、と思いますがどうなんでしょう。自分では気づいていない原因もあるのかもしれません。みなさんはどうですか?
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