ずっとずっと行きたかった、東京都現代美術館に行ってきました!
冷たい北風を感じながら、最寄り駅からてくてく。15分くらい歩いたところにある美術館です。
この展覧会を見てみたかったのです!
豊嶋康子 | 展覧会 東京都現代美術館は、常に動き続けるコンテンポラリー・アートを肌で感じることのできるスペースです。 www.mot-art-museum.jp
豊島康子さんの展覧会「発生法-天地左右の裏表」。
以下、展覧会リーフレットにある説明です。
豊島康子は、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から向かい合ってきた作家です。
展覧会リーフレットより抜粋
物や道具、社会システム、さらには自分自身などあらゆるものを素材とする作品の幅はとても広く、思いがけない角度から人と社会の「発生」の仕方に光を当ててきました。
制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から向かいあってきた…?
抽象的な説明なので、この文章だけ読んでも「???」という感じですよね。
というわけで、作品を紹介しつつ私個人の感想を書いてみたいと思います!
◇◇◇
入り口を抜けると、まずこの作品が出迎えてくれました。
既製品のジグソーパズルのピースを無作為に横一列につなげている作品。
一枚の絵を完成させるためのピースを、あえてその役割を果たさない方法で作品にしています。
線の行き止まりは、四隅の角に使われるピースなのでしょうか…天井近くに展示してある作品だったため、はっきりと確認できませんでしたが。
お次、ケースに並べられたこちらは…?
ずらっと並べられた、さまざまな銀行の通帳とキャッシュカード。すべて豊島さんご本人のもの。
まず、どこかの銀行で口座開設をして1,000円入金し、キャッシュカードを作成。カードが到着したらその1,000円を引き出し、別の銀行でまた口座開設をして1,000円入金&キャッシュカード作成。そしてそのカードが到着したら1,000円引き出し…を延々と繰り返し、集めた通帳とキャッシュカードなのです。
全部で50セットくらいあったような。お金を預けるという本来の目的でなく口座を開設する、というのがおそらく「私」の視点nなのでしょう。
それにしても、この行為を繰り返している豊島さんを想像してみると、なんだかおもしろくないですか?
広いスペースにまるで学校のような机と椅子が。
机の上に、試験の解答用紙が置いてありますね。おや?黒い紙?マークシート方式のその解答用紙、塗りつぶされているのは解答者の記入欄ではなく、それ以外の部分なのです。左上の白い部分は名前の記入欄。点々と並んでいるのはマークシート部分。
これぞ、裏表の「裏」。マークシートの枠の内側と外側を反転させると、膨大な塗りつぶし作業を伴いながらも、マークシートの意味をなさないものが完成するんですよね。枠外を塗るということを思いつくことが、枠外の発想だと思います。
そして、写真を撮っている人も多かったこの作品!
赤と青の鉛筆が向かい合っている…わけではなくて、一本の赤青鉛筆の境目の部分を削っているんです!芯がつながっているので、削っているのに使えない。使いたければ芯を折るしかありません。
鉛筆は削って使うもの。でも、どこを削るのかで鉛筆の有用性は変わってきてしまう。まるで「鉛筆を使うため」に削るのではなく、「削るという行為をするため」に鉛筆があるみたいです。
◇◇◇
この他にも、意図しない使い方をした道具や、日頃見過ごしているもの、表側しか見ないものの裏側を展示しているなど、好奇心をくすぐられる作品ばかりでした。
展覧会のタイトル「発生法」とは、どういう意味なのでしょう?
私が考えるには…道具の「表」を使うのではなく、「裏」に焦点を当てる。天地と左右を逆にすることで生まれる新しい価値観にスポットライトを当てる。そこで「発生」する何かがある、ということなのかな?などと思いました。
作品の意図を読み取るのは難しかったけれど、柔軟な作品の数々がとにかくおもしろかったです。機会がありましたらぜひ!
コメント