先月、職場で異動辞令が出た後輩。かわいがっていた子だったので、離れるのがとても残念でした。
礼儀正しくて意欲的で、育てがいのあった子だったのです。
最後の出勤日、彼女はお礼のお菓子と手紙を用意してきたのですが、その手紙に驚きました。
季節を感じる柄のマナーに沿った封筒と便せんを使用し、「拝啓」で始まり「敬具」で締められた、とってもちゃんとした手紙だったからです。もちろん、丁寧な手書きで綴られていました。
久しぶりに「拝啓・敬具」が使われた手紙をもらったわ…なんて思いました。
わたしは学生の頃、手紙を書くのがとても好きでした。手紙で知り合い、手紙でしか交流したことのない「文通友達」もいました。
あの頃って、あまり何も考えず、自分がかわいいと思ったレターセットを使い、ただ書きたいことを書き、出したいときに出して…思い返せば楽しかったなと思います。
大人になると、内容はもちろん、マナーとか出すタイミングとか、いろいろなことを考えてしまいます。私だけではないと思うのですが、みなさんいかがですか?
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例えば、知り合い夫婦のお宅でごちそうになった場合。フォーマルな席だったのであれば、礼状を書いた方がいいですよね。
そこで悩むのが、宛名です。私は旦那さんとしか面識はないのですが、その日は奥さまにもお世話になったし…と思うと、どのように書くのが一番よいのでしょうか?
調べてみると、このような場合は「ご夫婦の名前を連ねて書く」のがベストだそう。
「隆様、絵美様」のように敬称はそれぞれにつけると丁寧です。こちらも夫婦でお礼を述べたい場合は、差出人の名前も夫婦連名で書きます。
ちなみに、欧米では夫婦が一組と考えることは当然とされているよう。
これでも丁寧かな?と勘違いしがちなのが、「末筆で失礼ではございますが、奥様にもよろしくお伝えください」というような書き方。最後につけ足したような言い方になってしまいます。
これでは、「失礼とわかっていて、なぜこんな書き方をするんだ!」と突っ込まれるもと。
末筆で失礼とことわるくらいなら、最初から本文に書きなさい、ということですね。
たしかに、私がお礼を言われる立場だったら、「なんで夫だけ?」と思いそう…。
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就職したての頃、私がよくやっていた間違いと言えば、「○○部長様」という書き方。
役職に「様」をつけるのは非常識の極みとされています…思い出すととても恥ずかしいのですが、意外とこのような間違い、見かけませんか?
出す側としては「○○部長」だけだと失礼かな…と思ってしまいませんか?
でも、敬称を重ねるほうが間違いなのです。先方の苗字がわかる場合は「営業部部長、○○様」などと、役職の後に名前を続けるように書くとベター。
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そういえば、以前、親からの手紙には白紙の便せんが一枚ついていました。
手紙の本文は一枚で終わっていたため、マナーとしてもう一枚つけていたのだと思います。
昔は「手紙が一枚で終わるときは、白紙の便せんを一枚つけて二枚にすべき」という習慣があったようですが、最近はそのようなマナーは古くなってきましたよね。若い子たちは知らないかも。
一枚で送っても失礼には当たらないようです。むしろ「紙の無駄使い」と言われてしまうかも。
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僧侶や作家として活躍されている瀬戸内寂聴さんは、手紙に関してこのように述べています。
手紙を書くのは無償の行為。返事を期待せず「聞いてちょうだい」というのがいいんです。
返事を期待したり強要したりするのでなく、「聞いて!」と気ままに書くほうが楽しいのだとか。
すてきな便せんを用意して、かわいらしい切ってを買って…私もまた手紙を書きたくなってきました。
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