立春が過ぎて、暦の上では季節は春。
まだまだ寒い日が続いていますが、洋服は春夏ものが並び、すっかり気持ちは春、ですね。
私の勤務しているドラッグストアにも、日焼け止めや制汗剤など、春夏シーズンの新商品が入荷してきています。
こういう類の雑貨って、毎年毎年リニューアルするものも多いですよね。
「結局どれが一番いいの?」と悩んだ結果、「無難に去年と同じものを」と消極的に選択してしまった、という経験もあるのではないでしょうか?
実際、私自身もよく思うんですよね…いろいろあって選べるのは楽しいけれど、結局選ぶ作業が面倒になってしまう、そしていつもの商品に落ち着いてしまう、ということが。
私の親世代くらいになると、「こんなにあっても、多すぎてどれがいいのかわからない!選びきれないのでまたでいいや」と購買意欲が下がってしまうこともあるかもしれません。そのようなお客様に出会ったことも多々あります。
選択肢が多ければ多いほどいいかというと、決してそういうわけではないのかな、と感じます。
◇◇◇
そんなことを思っていた矢先、ある雑誌でこのような記事を見つけました。
「多すぎる選択肢」は買い物体験の満足度にどう影響を与えるのか
宣伝会議 2023.3
「シーナ・アイエンガー氏の著書『選択の科学』が発表された約10年前、人は選択肢が多すぎると逆に選べなくなるという研究結果が話題になった」
「消費者によって好みが異なることを考えると、品揃えが多いほど消費者は自分の好みに合った商品を見つけられる可能性が高くなるので買い物への満足度が高くなる、と考えられます。
一方で、品揃えが多くなるほど消費者は商品の比較・検討のために多くの情報処理を行うことが必要になり、選択作業が困難となるために不満足度も高くなることが考えられます」
なんと、10年以上も前から、選択肢が多ければ満足度が上がるというわけではない、という研究がなされていたそうです。
選択肢が増えることは、ある程度までは買い物の満足度を上げることにつながりますが、ある一定を越えると逆に不満足度が上がってしまうのだそうです。
確かに、品揃えが少なく自分の好みに合うものがないのはストレスですが、
あまりに品揃えが多すぎても「これとこれはどう違うの?」「これは値段が安いけど、こちらは高くても品質がいいのかな?」など考える要素が増えますよね。
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「消費者にとっての最適な品揃え数が存在し、それよりも品揃え数が多くなりすぎてしまうと、買い物への満足度が低下したり購買をあきらめてしまう場合もあります。これは『選択のオーバーロード現象』と呼ばれ、実証研究でも選択のオーバーロード現象が生じると報告されて注目を集めました」
※オーバーロードとは:人の心理的負担の意。
買い物の満足度を上げるには、品揃えは多すぎず少なすぎず、が重要なようです。
と言っても、店側はその最適な品揃え数をどのように把握するのでしょうか?
品揃え数と選択のオーバーロードの関係には、4つの要因があるそうです。
- 選択肢の複雑さ
- 意思決定の困難さ
- 選好の不確実性
- 意思決定の目標
この4つの要因が、最適な品揃え数に影響を及ぼしているのだそう。
言われてみれば、似たような商品が多く並んでいると選択に迷いますし、「これにする」という意思決定は困難になりそうです。
また、自分の好みの商品であっても、他人も必ずそれを好むとは限りません。
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「品揃え数を削減することで常に望ましい結果を得られるとは限らず、選択において消費者が直面している状況に応じて最適な品揃え数を考える必要がある」
日々の暮らしに必要な食品と、たまに購入する化粧品や衣料品などのぜいたく品では、選択する際の基準も違いますよね。
私は何を重視して選択するか…ちょっと考えてみると面白いかもしれません。
参考:宣伝会議 2023年3月号
/https://www.sendenkaigi.com/books/back-number-sendenkaigi/detail.php?id=29619
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